最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1260号 判決 1951年9月28日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人松永東、名尾良孝の上告趣意第一点について。
原審における訴訟手続に迅速を欠く憾みのあることは、所論のとおりであるけれども、これを以て原判決破棄の理由とすることのできないことは当裁判所数次の判例の示すところによって明らかである。(昭和二三年(れ)一〇七一号同年一二月二二日大法廷判決参照)論旨は理由がない。
同第二点について。
原判決は、被告人等は、判示のごとく被害者を脅迫し同人等をして金四万円を交付する旨約束せしめた事実を認定したのであって、かかる金員交付の約束をさせた以上、たとえそれが所論のごとく法律上正当にその履行を請求することのできない債権であるとしても、これを刑法二四九条二項にいわゆる「財産上不法ノ利益ヲ得」たものと解するに何の妨げもないのである。所論はこれを採用することができない。
同第三点について。
所論は原判決の量刑不当を主張するものであって、上告適法の理由とならない。
よって刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)